先日、ブックハウス神保町で開催されていたパキスタン写真展が終了した。
若手スタッフの足立と12年間愛用しているオンボロシビックに乗り込み
搬出に出かけた。KnKでは年に数回、写真展やイベントなどを開催している
が、その搬入・搬出の度に活躍してくれている車だ。昔、富士山の須走と
いう所に住んでいたときは撮影の仕事のときにも使っており、走行距離が
年間20,000Kmくらいだったが、こちらに戻ってきてからはKnKのイベントの
ときくらいしか出番がないので乗る機会がかなり減ってしまった老車である。
搬出はお店の閉店頃だったので、夕方、事務所から家に車を取りに行った。
駐車場は家から自転車で5分くらい走ったこと場所にある。東京の駐車場
事情はとても厳しいのだ。数ヶ月ぶりに乗るのでちゃんと動くか心配だった
が、久しぶりの出番でうれしかったらしく、何度かキーを回したら、
「ブーゥン」と機嫌のいい声を出してくれた。一度エンジンがかかって
しまえば老車とはいえさすが日本車である。最近の車にはかなわないまでも、
いまだに14~5km/リッターは走る。
メタリックブルーで洗車をすればとてもきれいなはずのシビックは、それでも
ヨロヨロと靖国通りをひた走る。ナビなんてものはないがCDチェンジャーを
搭載しており、この日は「ダイアーストレイツ」のギターを聞かせてくれた。
ちなみにこのバンド、エリッククラプトンと同世代のギタリストを中心として
活躍している大ベテランバンドである。
ギタリストのマーク・ノップラーが弾くとギターが泣く。
お店に着くと、店員さんが親切に駐車場に案内してくれた。
最近は路駐の取締りが厳しいのでとてもありがたかった。
閉店近くの店内にはまだ数人お客さんがいたので邪魔にならないように
撤収を始めると、「このお店何時までかしら?」と質問された。
「7時、い、いえ、6時半まででございます」と店員さんのふりをして
答えると、「あらそうなの。もう過ぎちゃったわね。ごめんなさ~い」と
言って申しわけなさそうに帰っていった。
写真の撤収をしていると、鍵がかけられた入り口をたたく音。
「あの、先ほど買い物をしたときにハンズの紙袋を忘れたはずなんですけど」
とまた別のお客さん。
「はい。今聞いてまいります」とまた店員風に答えて、本物の店員さんに
聞きに行った。本物さんは「あら、そんな袋あったかしら?」と答えるので、
僕は内心
「ないと困ります…。僕が尋ねられてるので、ないなんて伝えられません…」と
思っていたら、「あら、ここにあったわ」と言って見つけてくれた。
お店のセキュリティの問題なのか、その店員さんは裏口から出て行った。僕は
その店員さんよりも早く戻り、紙袋があったことを伝えないといけなかったので、
競争する感じで入り口に到着した。ガラス越しに「ありました」とお客さんに
伝えたのだが、僕の手にはもちろん紙袋がない。
急いで戻ったせいで本物の店員さんの到着が遅れているのだ。
「あったことは本当なんですけど、本物の店員さんが今…」と言葉にならない
言葉を心で唱えながら、ようやく到着した本物さんを指差し、「あの、あの…」と
また言葉にならない言葉を唱えてしまった。
普段、買い物をするときはほとんど店員さんと会話を交わすことなんてないのに、
あの時はあんなに短い間に2人のお客さんと言葉を交わした。接客をしていると、
色々なことがあるのかなぁ、感じた日だった。
僕と足立を乗せた老車は、僕のそんな出来事を知ってか知らずか、相変わらず
ヨロヨロとひた走ってくれた。
posted : 2007-04-13 15:52:24
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