戦国時代に戻ってしまった僕の気持ちなど誰も気にとめることもなく、
「はとバス」は浅草へと向かう。(※)
やはりこの辺まで来ると風情が出てくる。人形屋や刃物屋など伝統的な
ものを扱う店が増えてきた。浅草寺の駐車場に止まるとガイドさんは、
「ここは30分しか時間がないので、ゆっくり買い物したい人は電車で
帰ってください。えへへ…、えへへ…」と言った。本当かどうか確認は
しなかったがそれもいいかもと思い、浅草でゆっくり観光し、
「はとバス」にはここで別れを告げた。
浅草寺の境内に入るとお決まりのおみくじがある。アグネスは「大吉」が
でた。ソフィアはなんと、「凶」だった。僕も初めて知ったが、凶などの
悪いくじが出た場合、そのくじはその場に結び付けて、悪い運も一緒に
寺に置いて帰るのだそうだ。凶なんって引いてしまったソフィアは不安そう
だったが僕の話を聞いて安心したらしく、喜んでくじを結び付けていた。
浅草寺といえば、あの煙。僕たちも煙を頭にかぶって健康を祈った。すると
ソフィアが「あの水は何?」と聞くのでそっちを見ると、なんとお清めの
水だった。「はとバス」は駐車場から入ったため、浅草寺に入る順番が逆に
なってしまったのだった。本当はお清めをしてからお賽銭をするのに…
しかし、運がいいことにお寺に着物を着ている若い女の子たちが来ていた。
日本の着物を近くで見せるチャンス。普段は知らない女性に声をかけることは
ないのだがここはソフィアとアグネスのためだ。声をかけると女性たちは
慣れているらしく、快く記念撮影に応じてくれた。なんでも着物の良さを
知ってもらうサークルの人たちだった。
人ごみであふれる仲見世をゆっくり通り、あげ饅頭をつまみながら雷門まで
来た。雷門の前では人力車のお兄さんたちが盛んに観光客に声をかけていた。
「これはいい」と思い、さっそく値段の交渉。もちろんまけてはくれなかった
が英語の話せるお兄さんを見つけてくれた。10分くらいのコースだが値段は
それほど安くはない。でもせっかくなのでここでケチっては男がすたる。
二人を人力車に乗せることにした。
今日は寒い。10分とはいえフィリピン出張から戻ってきたばかりの僕には
結構きつかった。待っている間、「ソフィアはカンボジア人だから人力車
なんて珍しくなかったかな?」などと考えみたりしたが、やはり雰囲気は絶対
違うはず。10分して戻ってきた二人はテンションが上がっている顔をして
いた。「よかった、よかった」。
普段、出張で海外に行くが観光などしたことはない。しかし出先で様々な人に
「お客」としてもてなされたり、親切にしてもらうことが多い。
少しは恩返しができただろうか。
※「はとバスツアー1 東京タワー編」はこちら
※「はとバスツアー2 皇居編」はこちら
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